Tuesday, February 10, 2009

「仏壇がほしいね。」


  
 この冬、島に帰った。実家に着くと、アブちゃんが「里帰りって気分だよねぇ。」と、しみじみ言った。確かにホッとするこの気持ちは「里帰り」って感じだけれど、アブちゃんが言うと、なんだかほほえましく聞こえる。それに、ちょっとひっかかったこともあってその意味を調べてみると、「結婚した女性または他家に奉公したものが実家に帰ることを里帰りという。」と辞書に書いてあった。
 『ああ、せっかくお気に入りの言葉を見つけたのに、それが使えない立場だと知ったら、またがっかりするんだろうなぁ。でも、言わなきゃなぁ。』と思っている。

 実家ではアブちゃんはそのお手伝いぶりとお茶目さに娘よりも高評価を得ている。かわいそうに、実家に着いたや否や「おかえり!おかえり!!」と喜んで迎えられたすぐ後から、年末の大掃除やら畑仕事やらが彼を待っていた。

「いいよねぇ。畑っていいよねぇ。いつか庭のある家に住むときには畑作ろうね。」と、また自然の中での勤労の喜びを味わっていた。


 大掃除もひと段落着いて2人で家の近所を散歩していると、アブちゃんが「仏壇がほしいねぇ。」と一言。「どうして?」と聞くと、「うちにも亡くなった君のおばあちゃんの写真が飾ってあるけど、その写真を飾るちゃんとした場所が必要だと思うんだよね。」と言う。
 
 「でも、アブちゃんの宗教とは違うよね。」と私が言うと、

 「うん、でもね、どの宗教でも神や仏や先祖に祈ることで自分の心と会話をしたり、どこかで自分を開放して未来への活力にかえたりできるなら、それはその人にとっていいことだし信仰は大切なことだと思うよ。僕は僕自身の家族の背景としてその事実を子どもたちに伝えていくことは大事だと思うけど、特に自分の宗教にもこだわってないし、仏壇を置くことはおばあちゃんや先祖を敬うっていう意味でもいいことだと思うよ。」とアブちゃんは答えた。
 
 その日から、2人で仏壇の広告に目を通し始めたけれど、果たして買った後どのように外国へ運び出そうか・・・。仏壇のダンボールってあるのかなぁ?原型のままもって歩いていて、街中や税関で呼び止められないかなぁ?だって、ニシムタで買ったホーム用「流しそうめんマシーン」ですら空港で空港職員に笑われたのにぃ。

 ま、運搬方法が決まってから仏壇は購入することにしようかな。
 ばあちゃんも喜ぶだろう。外国人の孫婿が仏壇を買ってくれたと思ったら。 
 
 家族思いの夫を持って、今年もいい年になりそうだねぇ:)

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